相続人じゃないと相続できないの?:相続はつらいよ【第1章】相続のルールはつらいよ(その1・全5話)

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相続人じゃないと相続できないの?

亡くなった人の財産を相続人以外の人でも相続できるのでしょうか?
先日、こんな相談を受けました。
「父が亡くなって、遺産分けを考えているのですが、父は生前、孫のAちゃんをかわいがっていたので、Aちゃんにも遺産をあげたいと思っているんです」。
なんとも心温まる話です。相続というと、親族で財産を取り合う話ばかりと思いがちですが、こういう心優しい人たちもいるのです。
「是非Aちゃんにも財産をあげてください!」と言いたいところですが、残念ながら、相続人ではない孫のAちゃんは、相続で財産をもらうことはできません。
同じようなケースで、「嫁のB子さんが最期までお父さんの面倒をよくみてくれていたから、財産を分けてあげたい」なんていう話も聞きますが、これもお嫁さんが相続人ではないため、相続で財産をあげることはできないのです。
こう聞くと、「誰が遺産をもらおうと家族の問題なんだから、好きにさせてくれ!」と思われるかもしれません。しかし、相続は家族の問題であると同時に、民法や税法に規定された法律行為でもあるのです。
それを知らずに、うっかり孫のAちゃんや嫁のB子さんに財産をあげてしまったら……。もらったAちゃんやB子さんに多額の贈与税がかかるかもしれないのです!

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相続で財産がもらえる人は?

相続とは、亡くなった人の財産を特定の人が承しよう継けいすることをいいます。平たくいうと、「亡くなった人から財産をもらう」ということ。誰に何をあげるのかは、財産の持ち主が指定することができます(指定相続)。
分け方の指定は通常、遺言書で行います。正しい遺言書があれば、好きな人に財産を残すことができます。孫のAちゃんや嫁のB子さんも、事前に遺言書で財産をあげると指定してもらっていれば、相続で財産を受け取ることができたのです。
遺言書がない場合は、法律で決められた相続人(法定相続人)が話し合いで財産の分け方を決めます(法定相続)。
ここで注意したいのは、遺言書等で指定のない場合には、法律で決められた相続人しか遺産をもらえないということです。たとえ相続人全員の同意があったとしても、ダメなのです。
では、遺言書はないけれど、どうしても相続人以外の人にも財産をあげたい! という時はどうすればいいのか?
その場合は、いったん法律で決められた相続人が財産をもらい、そのもらった財産を相続人以外の人に贈与する、という手順を踏むことになります。
ここで、問題になるのが税金です。亡くなった人から財産をもらえば相続税の対象ですが、生きている人から財産をもらうと贈与税の対象となります。
相続税は亡くなった人が一定以上の財産を持っていた場合にだけかかる税金ですが、贈与税は1年間に110万円以上の財産をもらうとかかることになります。しかも、贈与税は相続税よりも税率が高くなりがち。もらう財産の額によっては高額な贈与税を払わなくてはならない、なんてことになりかねないのです(贈与税がいくらになるかは次ページの表を参照してください。税金の詳細については後ほどお話しします)。

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ましてや、相続税もかかるとなると、相続人がいったん相続するために相続税を払って、今度は相続人からその財産をもらった人が贈与税を払うということになるわけです。
遺言書がないばかりに、余計な税金を払うことになるなんて悲しすぎます。いや、そもそもそこまでして相続人以外の人に財産を分けてあげようなんて、心優しい人がそうそういるとは限りません。相続人以外の人に財産を残したいのであれば、その旨を記した遺言書を作っていただきたいと思います。

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法定相続人について

法律で決められた相続人(法定相続人)とは誰かについてご説明しましょう。
まず、配偶者(妻・夫)は必ず法定相続人となります。配偶者とは婚姻届を出している(入籍している)人。籍が入っていない場合は、たとえ何十年一緒に暮らしていようと法定相続人にはなれません。逆に何十年別居していたとしても、入籍さえしていれば法定相続人です。
「夫に愛人ができて家を出て行ってしまったけれど意地でも離婚しないわ」なんて話を聞くことがありますが、籍さえ入っていれば、不倫夫が亡くなった時に法定相続人として財産をもらえるのは、一緒に住んでいた愛人さんではなく、別居していた法律上の妻ということになります。意地でも離婚しない気持ちもわからないでもない、というところでしょうか。その一方で、別居中の夫に多額の借金があったりしたら、うっかり借金を相続してしまうという不幸もありうるということ。それはちょっと困りますよね。別居している配偶者の財産状況も、できれば把は 握あくしておきたいものです。
話はそれましたが、配偶者以外の相続人には、第一〜第三までの順位が決められています。先の順位の人がいる場合、後の順位の人には相続権はありません。

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相続人の順位

第一順位 子
第二順位 親
第三順位 兄弟姉妹

第一順位は子どもです。養子に迎えた子はもちろん、養子に出した実子も相続人となります(特別養子に出した子を除く)。相続の時にお腹の中にいた胎児も、その後無事生まれてきた場合には相続人となります。配偶者の場合には入籍が絶対条件でしたが、籍の入っていない相手との間に生まれた内縁の子は相続権を持ちます。
子どもが先に亡くなっていた場合は、その孫が、孫も亡くなっていればひ孫が、相続人になります。これを代だい襲しゆう相続といいます。
第一順位が1人もいない場合、第二順位の親(直系尊属)が相続人になります。両親ともにいない場合は祖父母、祖父母もともにいない場合は曾祖父母へと相続権が移ります。
第二順位も誰もいない場合は、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子どもたち(亡くなった人からすると甥おい・姪めい)が代襲相続人となります。甥や姪も亡くなっている場合には、そこで相続権がなくなります。甥っ子や姪っ子の子どもたちは法定相続人とはならないのです。海外のお話のように、会ったこともない遠い親戚が亡くなって突然莫ばく大だいな相続財産を引き継ぐ♥というようなシンデレラストーリー(?)は、日本ではありえないということです。

まとめ

こういったケースもなになになので、注意が必要です。