相続(生前)対策

相続対策は、お金持ちでなければ必要ないと思っていませんか?実は、誰にでもやるべき相続対策があります!
相続については、元気なうちに考えて始めてください。相続対策は元気なうちでなければできないものばかりです。検討いただきたい相続対策は以下の通りです。

節税対策

1.保険の非課税枠を活用する
2.生前贈与で財産を減らす
3.不動産などを活用して相続税の評価額を下げる

遺産分割対策

1.エンディングノートなどを作成して、残す財産と自分の気持ちを書いておく
2.財産を分割しやすいようにしておく
3.遺言書を作成する
4.生命保険を活用する
5.家族信託を活用する

節税対策

まずは、相続税がかかるのかどうか、自分に相続税の対策が必要なのかを知ることから始めてください。「相続税がかかりそうだから節税対策をしよう!」と思った時には、うつべき対策をしっかり見分けることが重要です。誤った対策は、事態をますます悪化させることになります。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険は、節税対策に役立ちます。というのも、生命保険には非課税枠があるからです。相続人が受け取る保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額までは、相続税がかかりません。もしも、相続税のかかる方が銀行に余裕資金が預けっぱなしになっているなら、これを生命保険金に変えるだけで相続税のかからない財産となり安全確実に節税になります。

生前贈与で財産を減らす

相続税の節税対策の方法は?と考えたときに、最初に思いつくのが財産を減らすために家族などに分けてしまうことです。しかし、ただで人にものをあげると贈与税という高い税金がかかります。高い贈与税をかけないためには、非課税枠などを使って、上手にあげる工夫が必要です。

① 毎年110万円の非課税枠を使って贈与する

贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの期間に贈与を受けた金額から110万円を控除した後の金額に税率をかけて計算します。つまり110万円以内の贈与には税金がかかりません。子どもが2人、孫が4人いるような場合、6人全員に110万円の贈与をすると年間660万円の資産を、税金をかけずに次の代に譲ることができます。

② 最大2,500万円まで贈与税をかけずに資産を渡す方法もある(相続時精算課税制度)

親(又は祖父母)から子(又は孫)に、年間2,500万円まで贈与税をかけずに贈与する方法もあります。ただし、贈与した側に相続が起きたときには、贈与を受けた資産を相続財産に加えて相続税を計算します。結局、相続税の計算では、資産を減らしたことにならないこの方法は節税対策に向いているとは言えません。しかし、相続時に加算する資産の価額は、贈与の時の価額になりますので、相続時に贈与時より価額が高くなると見込まれる資産の贈与にこの制度を利用するなら節税対策として有効です。

③ 住宅資金を親(又は祖父母)からもらって、非課税になる制度

住宅購入や増改築のための資金を親などからもらった場合に、贈与税が最大で1,200万円非課税になる制度があります。この制度は、上記①の110万円の非課税枠との併用ができるので、年間最大で1,310万円贈与税が非課税になります。
※非課税限度額は、住宅の種類、契約時期などによって変わります。

④ 教育資金を親(又は祖父母)からもらって、非課税になる制度

学校に支払われる入学金や授業料などの教育資金を親などからもらった場合に、1,500万円(教材や制服などの学校以外に支払われるものについては500万円)まで非課税になる制度があります。気を付けポイントは、贈与を受けたものが30歳になったときまで使い切れなかった資金については、贈与税の対象となることです。
親などから学校に支払われる資金はこの制度を使わなくても贈与税の対象とならないのですが、あらかじめ教育資金としてまとまった資金を渡して相続税対策にしようという場合には有効な制度です。

⑤ 結婚や子育て資金を、親(又は祖父母)からもらって、非課税になる制度

上記④に似た制度で、結婚(挙式費用などは300万円まで)や子育て資金を親などからもらった場合に、1,000万円まで非課税になる制度があります。ただし、④の場合と違い贈与した方に相続が起きた場合、使い切れなかった資金については相続財産に持ち戻されますので、節税対策には不向きな制度となっています。

⑥ 配偶者への住宅資金の贈与について、2,000万円の非課税枠があります

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産の購入資金の贈与が行われた場合、2,000万円まで贈与税がかかりません。
非課税枠を使って大きな金額の財産を配偶者に渡せるので、利用される方が多いのですが、注意していただきたいのは将来の相続税に節税効果が本当にあるのかということです。そもそも相続税では「配偶者に1億6,000万円又は法定相続分まで相続税をかけない」という大きな優遇制度があります。また、あまり配偶者に財産を渡し過ぎると、配偶者が亡くなったとき(二次相続が起こった時)、相続人の子どもたちに多額の相続税が発生することになります。
相続税対策の目的でこの制度を利用する場合には、果たして二次相続まで含めて考えてみても節税効果があるのかを試算する必要があります。

不動産などを活用して相続税の評価額を下げる

不動産の相続税の評価額は、時価より通常低く算定されます。そのため、不動産を上手に活用した対策が、相続税対策には有効になってきます。

① 不動産の評価方法

土地 ・・・ 路線価 × 補正率 × 面積

路線価とは、1㎡当たりの評価額です。路線価の評価額は、時価の8割程度、つまり時価より2割程度評価が下がるとされています。また、不整形地、地積の大きな土地などには、さらに補正率で評価が下げられます。

建物 ・・・ 固定資産税評価額

固定資産税評価額は、時価の6~7割程度になることが多く、建物も時価より評価を下げる効果があります。

② アパート経営でさらに不動産の評価を下げる

賃貸経営をしている不動産は、さらに評価を下げられます。その理由となるのが「貸家建付地評価」と「小規模宅地等の特例」です。

貸家建付地評価

貸家建付地評価とは、ちょっと聞きなれない言葉ですが、アパートなどの賃貸住宅に使われている土地のことです。この土地評価は、借主の権利部分を差し引く計算方法になりますので、場所にもよりますが2割程度下がります。

小規模宅地の特例

貸家建付地は、小規模宅地の特例(下記参照)も受けられるため、要件を満たすとさらに評価を5割減額することができます。

貸家

アパートなどの賃貸住宅に使われてる建物も、借主の権利部分評価を下げることが出来ます。通常、3割下がります。

③ 小規模宅地等の特例

生活基盤となっている土地については、高い相続税がかからないよう相続人を保護する制度があります。「小規模宅地等の特例」という制度です。
住宅用地については、特例が受けられると8割も評価が下がり、限度面積(330㎡)以内なら、評価額の2割で相続税の計算をします。特例の適用にあたっては、土地の利用方法や誰が取得するのか、同居の親族かあるいはそれ以外の方かなど条件が複雑になっておりますので、お気軽にご相談ください。

不動産を活用する相続税対策は、大きな資金を使うことになりますので、その効果については必ず税理士に相談してから行ってください。

遺産分割対策

亡くなられた方が残した財産をめぐり、相続人同士でどう分けるかでもめるということが、相続では残念ながら起こりがちです。せっかく残した財産で、残された家族の仲が悪くなるというようなことがないよう生前にしっかり対策してください。

エンディングノートなどを作成して、残す財産と自分の気持ちを書いておく

相続が起きた場合、残された者で亡くなられた方の財産を確定するというのは案外大変なものです。「銀行の通帳はこれで全部だと思うけど・・」、「配当金の振込があるけど、証券会社がどこだかわからない・・」などは、よく聞きます。
「自分の財産のことが分かるのは、自分だけ」です。しっかりエンディングノートなどを利用して、どんな財産があるのかを書き残しておいてください。また、ノートには、家族へ自分からのメッセージなども書いておいてください。財産状況を明確にし、気持ちの整理をすることが、遺産分割対策の最初の一歩です。
財産は、プラスの財産ばかりとは限りません。借金などのマイナスの財産もあります。マイナスの財産の方がプラスの財産より大きい場合には、相続しないという方法もありますが、この手続きは、相続人であることが分かった日から3か月以内に家庭裁判所申し出ることが必要です。うっかり借金ばかりの財産を相続させないためにも、財産のリストアップは必要です。

遺言書を作成する

自分の財産のリストアップをし、自分の気持ちの整理が付いた次には、遺言書を作成しましょう(遺言書の作成ページにとばす?)
自分の財産を誰に何を残すのか、自分の意思を明確にすることも遺産分割対策には有効です。ただし、中途半端な遺言書はかえって争いのもとになったり、高額な相続税の原因になったりもします。遺言書を作成する前には、一度お気軽にご相談ください。

生命保険を活用する

生命保険は、保険金の受取人を指定します。生前に誰に残すのかを決められるという点で遺言書に似ていますが、違うのは受け取る保険金は相続財産にはならないところです。相続財産とは、相続人が相続分を主張できる財産ですが、保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産となり他の相続人と分け合う必要がありません。保険金は、遺産分割協議の対象にならない、つまり分け方でもめる財産にはならないのです。
 この保険金の特性を利用して・・
不動産など分けづらい大きい財産を相続する相続人が、他の相続人よりもらいすぎる分を現金など支払って補うことがあります(代償分割)。もらいすぎる分を補う現金(代償金)が相続財産の場合、その現金についても他の相続人に相続分が発生してしまいますが、保険金ならまるまる自分の財産として代償金原資として使えます。

また、保険金は相続人が受け取ると、「相続人の数×500万円」まで相続税がかからないという非課税枠がありますので節税対策にも使えます。

家族信託を活用する

最近、家族信託を相続対策に利用する方が増えてきています。
家族信託は、財産管理の新しい手法です。家族や親族に財産の管理・継承を任せる制度のため、従来、本人の判断能力が乏しくなったら凍結されてしまった財産を管理処分ができるようになりました。
これにより、遺産分割の問題の解決方法の選択が広がりましたので、お気軽にご相談ください。